ハードウエア

発音・発声(DAC出力)

MCUの DAC( Digital to Analog Converter )を使用して発音や発生を行う機能です。

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構 成

回路の構成は以下のとおりです。

標準では Peripheral MCUの DAC出力で発音発声を行います。

MCUの DAC出力は増幅器を通して、スピーカーで鳴らします。スピーカーは胴体前面に設置しています。

発音発声機能を使用しない場合に、省電力を行う目的で、Periperal MCUのプログラムから増幅器の ON/OFFできます。

オプションで Body MCUまたは Body MCU2 の DAC出力を平行して入力できます。Body MCUの DAC出力と Body MCU2の DAC出力を同時に使用することはできません。Body MCUの DAC出力は標準で Peripheral MCUの外部からのウエイクアップ行う信号線として使用しています。そのため、Body MCUの F6を DAC出力として使用する場合は、WAKEUP-P 信号線を他に振り替える必要があります。詳しくは「発音発声の DAC( 回路変更 )」をご覧ください。

増幅回路

MCUの DAC出力は小さいので増幅器(アンプ)で信号を増幅してスピーカーを駆動できるようにします。LM386を使用したモノラルパワーアンプです。仕様は以下のとおりです。

  • 電源電圧: DC 5V
  • 最大出力: 約400mW( 8Ω、5V )
  • 消費電流: 4mA( 無信号時 )省電力制御により 0mAにすることができます。
  • ゲイン: 26dB / 39dB 半田ブリッジパターン JP1の切換えで変更できます。

回路図は以下のとおりです。

回路はデータシートに掲載している回路を元に係数を変更しています。

入力は2系統あり標準では Peripheral MCUの DACからの入力のみです。オプション( 半田ブリッジパターン )で後記の変更ができます。R21と R22、R24と R25は各入力用の分圧用の抵抗で標準では DAC出力をそのまま入力するように設定しています。分圧が必要なときにこの抵抗値を変更することで対応できます。C21, C22は直流カット用のコンデンサです。

音量調整のボリューム(RV1)は 10kΩです。抵抗値が高いとハイインピーダンスとなり他の回路からの影響でノイズ( クロストーク )が発生しやすくなります。

アンプの pin.7と Gnd間にあるコンデンサ(C24)は発振を防ぐ目的です。LM386 のデータシートに掲載されている内部回路(右図)では pin.7と Gnd間に15 kΩの抵抗が入っています。 pin.7と Gnd間にコンデンサを接続して 1/(jwC) << 15 k であると仮定すると、pin.7の電圧の交流成分はほぼ 0となり pin.7の電圧は電源電圧の変動の影響を受けません。C24を入れることにより 電源電圧の変動が入力に影響を与えて増幅されることがなくなります。10 uF という値はLM386 のデータシートの サンプル回路から引用しています。

LM386の内部回路 / 引用:https://www.ti.com/jp/lit/ds/symlink/lm386.pdf

アンプの出力端に接続しているコンデンサ(C25)と抵抗(R29)は回路の発振を防止するためのゾーベルネットワーク( Constant Resistance Network )です。電子回路はいろいろな理由によって周波数ごとに電気的な特性が変化します。それが原因で特定の周波数で発振するなどの問題が生じたり、期待する性能が出ないことがあります。このような問題を防ぎ一定に保つための回路です。詳しくはこちらをご覧ください。

スピーカー接続端子の直前に配置されている直流カット用コンデンサ(C26)は、データシートのサンプル回路では 250uF です。両電源のときはこのコンデンサは省略しても大きな問題は 発生しません。単電源ではアンプの電源の1/2の電圧がかかります。省略するとスピーカーに大きな 直流電流が流れるため、スピーカー が焼損する可能性があります。 この回路では部品調達を考慮して多用するコンデンサの中で最も容量の大きな 10uFにしました。

ノイズの改善
LM386 はそのまま使用すると歪みやノイズが多くなるアンプです。ちょっとした工夫で歪みやノイズを低くすることができます。今回の回路では以下のとおりです。
・電源の安定化
電源のノイズやリップル(変動)がそのまま信号に影響します。その対策として C30とC31を ICの近くに設置します。C30( セラミックコンデンサ / 0.1uF )は高周波ノイズの除去、C31( 電解コンデンサ / 100uF )は電圧の安定化を目的としています。これらはデカップリングコンデンサと呼びます。
・増幅率の調整
増幅率(ゲイン)は標準で 20倍です。半田ブリッジパターン JP1を半田付して接続することにより 200倍にすることができますが、歪みやノイズの原因になります。C23, R28で微調整することができます。
・フィードバック
ICの 7Pinにコンデンサ C24( 10uF )を追加してフィードバックを構成すると高周波ノイズを低減できます。入力の 2-3Pin間にフィードバック抵抗 R27( 1kΩ )を入れて発振を防いでいます。
・出力カップリングコンデンサ
前記のとおりです。容量が大きいほど低音が伸びますが、ロボットに搭載しているスピーカーは元々低音が得意ではないので容量は低めです。
・放 熱
高出力では ICの発熱により音質が劣化する可能性がありますので、周囲にスペースを確保しています。

LM286 の歴史
LM386 は National Semiconductor社が 1980年代初期に開発した、超有名な低電圧オーディオパワーアンプICです。ラジオをはじめアンプを内蔵する多くの製品に採用されました。また、使い勝手が良いので電子工作にもよく使われます。同社は 2011年に Texas Instruments社に買収され、LM386 は現在も製造と供給が続いています。Web上にも多くの情報や製作事例が掲載されています。

参考情報

参考になる情報は以下のとおりです。

このホームページ内

  • 複数のMCUをつなぐ: このロボットには複数の MCUが搭載されています。その MCU間の接続の概要です。

他のWebサイト

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